Sunday, October 5, 2014

分裂・下降サイクルを始めた「大中華圏」

古代の歴史など皆様には興味が無いかも知れないが、いわゆる中華圏というのは歴史上地政学的には、離合と集散を繰り返してきた。その根底にあるのはシナ本土の経済力の盛衰であるという唯物論的な見方をとれば、過去20年のシナ本土の経済的台頭が終わったことが、「大中華圏」の下降トレンドの開始と見れるだろう。

この数ヶ月のフィリピン・ベトナム・台湾での嫌中の動き、先週から急激に高まってきた(だがその根底トレンドはすでに昨年から見えていただろう)香港の反中国のうねりは、その動きを政治的な上部構造が確認しているに過ぎないともいえる。

今後シナ本土の経済は、政府による幾多の「景気刺激策」にもかかわらず、不動産価格の長期調整下落の中で落ちていくことは自明である。(日本の90年代を思い出してみよう。いったい何度の「総合経済対策」を日本政府が行ったか覚えているだろうか?)

これに追い討ちをかけるのが、おそらく人民元の下落あるいは切り下げ(自由化しつつあるので下落だろう)、およびその結果としての外資の引き上げ、中国からの資本流出の加速である。(すでにFDIは先月に大幅な流出超となっている。)

全般的なドル高の動きは、円安だけでなく人民元安、およびアジア通貨および株式の下落傾向を強める可能性がある。その中で、アジアにおいて唯一、自国通貨安にはポジティブに反応する日本株(特に外需と金融株)の相対的なアウトパフォーマンスの可能性がある。